大ガードの夜景 第60話  『 引っ越し2 』

小春の誕生パーティの頃から、京子は腰痛に悩まされ始めた。
もともと体調が悪い上に、腰が痛いとなると何もする気が起きない。
下落合の癒しの森で整体してもらうと多少緩和されたが、効き目は持続しなかった。
癒しの森で、腰痛体操を教えてもらったので、自宅ではそれをやっていたのだが
効く時と効かない時があり、ひどい時はもう何をやってもダメという感じで
近所の病院へ鎮痛剤打ってもらいに行った日もあった。

そんな中、おのみマンションから200mほど離れた新築アパートへの引っ越し日が
迫っていて体調的にキツい毎日が続いていた。

杉並に引っ越してきた時に住み始めたこのマンションは、当初感じた以上に
早稲田通りがうるさく、サッシやドアのスキマ風が寒く、住み心地が良く
無かった。確かに古いとは言え汚くはなくて2DK 84000円礼金更新料無しなので
値段的には魅力的ではあったが、まだ家賃に回せる金がありながら
騒音ガマンしながら住む理由もない、ということで200mほど離れたアパートへ
引っ越す事にしたのだった。
そちらへ移ると家賃は25000円UPするが、幸いじんじんの給料がそのくらいは
UPしていたので「かわんないや」という事になった。

幸い、杉並に引っ越したばかりなので、片づけにはそれほど手間取る事なく
箱詰め出来た。今回は近距離なので全部ステップワゴンで運ぶことにしたので
タンスの引き出しの中身とかはそのままでもいいし、キッチリ梱包しなくても
蓋の開いた箱にブチこむだけで良い荷物も多かった。

じんじんは金曜に休暇を取り、週末を含めた三日で一気に終わらせる予定だった。
が、金曜日、じんじんは風邪でヘロヘロ。それでも朝から梱包していたが、京子は
腰痛と更年期イライラで鎮痛剤打ちに病院つれてけと騒ぐし、まともに作業が
進み始めたのは午後になってからだった。
土曜日は小春をサンセイ電器に預け、箱物だけひたすら運んだ。
雨が降ってやりづらかったが、たえちゃんが手伝いに来てくれたので
それなりにはかどった。途中、よんきちとゆみちゃんが寄ってくれて
手伝ってくれたりもして、ほぼ予定通り完了した。
日曜にはのりちゃんと武内ダンナが来てくれて、家具など大物を移動。
でも今度は京子が風邪ダウンで、仕上げの掃き掃除とか細々した事まで
じんじんがやらなければならず、終わったのはだいぶ暗くなってからだった。
じんじんが手伝ってくれたお礼に夕飯でも、と誘ったところ
ダンナは実は仕事ほかって来ているらしく、急いでそっちをやらないと
ならない、ということで帰って行った。
何も言わずに現れたのに、実はそんな忙しい中、予定より時間オーバーしても
終わるまでキッチリ手伝ってくれたダンナには本当に感謝、のじんじんであった。
べつにのりちゃんには感謝してなかったとかそういうことではないみたいでは
あるが真実は分からない。

- つづく -