大ガードの夜景 第37話  『 ハイポーズ!? 』

(本文中のリンクは少々グロい画像ですので苦手な方はクリックしない様に
注意してください。)

京子が病室に戻った日、いつもの様に会社帰りのじんじんが病院に現れた。
「おー元気そうじゃん」じんじんはベッド上の京子に声をかけた。
斜向かいにいる佐藤さんが体を起こした。
「えらいねぇ、毎日毎日来てくれるんだもんねぇ
うちのダンナに爪の垢煎じて飲ませてやりたいよ。もう3カ月以上いるのに
片手で数えられるくらいしか来てないよ〜」
「ははは〜私の爪の垢煎じたりして飲んだら腹壊して来られる日すら来なくなりますよー」
じんじんはテレ隠しにそうごまかした。
そのすぐあと笠原医師が、がらがらとステンの台車を押す看護婦とともに現れた。
「傷口消毒しますね」笠原医師がそう言うと看護婦は手際よくカーテンを閉める。
「おおっ」じんじんはすかさずカバンからコンパクトカメラを持ち出した。
「撮って撮って!」はしゃぐ京子、構えるじんじん・・・
そして怪しい二人にたじろぐ看護婦の姿があった。
「恥ずかしいから下の方まで撮っちゃダメだからね!」
京子は首だけ少し持ち上げて、そう言った。
「だって結構キワドイとこまで切れてるよ・・・」
傷口はへその上からへその穴を避ける様に回りまっすぐ下に15センチくらい延びていた。
そして糸で縫ってあるのではなくて、ホチキスの様な物で止めてあるのだ。
傷の両側にはリンパ液を抜くためのパイプが体内から生えている。
パイプの中には赤い半透明の液体があり、それはベッドにぶら下がっているバルーン
へと流れていた。
笠原医師は二人の行動にあまり驚きもせず傷の具合を確かめながら
消毒液を塗っていたが、看護婦は二人の行動にかなり当惑していた。
「ほ、本当に写すんですか?」
看護婦は(汗)状態で二人にそう質問した。が、京子とじんじんは看護婦の方は見ずに
「え、だってこの状態って今しかないんですよ〜」
と一言言った、と、その直後にはストロボが光っていた。
しかも・・・
その1枚前のショットは、今回の手術直前に家で写した「帝王切開のケロイド傷痕」
なのだった。
「早く現像したいとこだな」その事をうれしそうに語る二人。
「根っからの理系なんだね、二人とも・・・」
自分もその理系人間である笠原医師だけは二人の表情から
二人の気持ちを理解しているようだった。

-つづく-