「C1で300km/h?」の巻 「あれー、こんなとこでなにしてんの?」 プリウスから顔を出したのはスニだった。 「なにしてんのってそっちこそなにしてんのさー」 「プリウスのリースが今日までだから最後に首都高走ってみようかと思ってね〜」 「ふーん、実は月チャンが家に入れてくんなくてさー、じゃないのか〜?」 「う・・・」 スニが図星つかれたという顔をしたのでIPHは、残っていたコーヒーを グッと飲み干しGTRに乗った。 「今日はナラシだからC1だけど一緒に行くかー」 「わかった、じゃついてく」スニはニヤけてごまかした。 2台はPAから出ると箱崎からC1内回りへと入った。 「そういえばブラックバードのポルシェがC1で300km出すっていう直線どこ?」 竹橋JCTを通過した頃、突然IPHが言った。 「ほよ〜確か霞が関トンネルのあとだったと思うけどー」 「そーそーそれそれ、思い出した思い出した、でもほんとに出せるのかね」 「うーん、トンネル後の溜池のコーナーを220kmで立ち上がれば行けるって 湾岸MIDNIGHTには書いてあったけど・・・」 星君はナビの地図をスクロールさせそのあたりを拡大してみた。 「これかー」 確かに地図を見ると溜池からアークヒルズまで500mほどの直線があった。 IPHのGTRは100〜120kmで三宅坂トンネルを走っていたが、曲がりくねった トンネルなので、そのスピードでもかなりいっぱいいっぱいのドライビング になっていた。後ろでスニのプリウスは細いタイヤをヒリヒリと鳴らしながら 走っている。 「でー、これが霞のトンネルかー」 IPHはトンネルに入るとナラシリミットの160kmまで引っ張ったが 出口手前のS字が垂直の壁に見え、思わずブレーキを踏んだ。 「ひえー、で次のコーナーを220で??」 S字の出口は上り坂の左コーナーで150Rくらいに見える。 「うわー無理!」 IPHは横Gで右に張りつきながら130kmほどで溜池コーナーをクリア。 「そして赤坂ストレート!!」 坂を上れば500mの直線、のはずだったが 「うおいおい、まがっとるがね!!」 IPHは思わずアクセルをゆるめた。 「どこがストレートなんだよ! くの字に曲がってて先が見えないじゃん!!」 とかわめいているうちにあっというまに谷町JCT。ここも左に思いっきり曲がって 更に右からは3号線が合流してくる。 「で、仮に300km出たとしてだ」 IPHは飯倉ランプを過ぎたあたりで納得いかないという口ぶりで続けた。 「ポルシェのブレーキがどんだけ優秀か知らないけど谷町JCTに何キロで つっこむ事になるんだ!? 合流直前のブラインドコーナーに!!!」 「まんがだからねー」 星君はハナから相手にしていない、という様子だった。 - つづく -