大ガードの夜景 第62話  『 アロマ効果 』

京子はまた検査結果を聞きに厚生年金病院へ行った。
がんという病気は最初の宣告がクローズアップされがちだけど
その後の検査結果聞く時の方が、実は重い気がした。
京子の場合は特に「するだけの事はしたけど」という状態で、転移が確認されれば
もう取ってもイタチごっこなわけで、ある意味、死の通告に等しいのだ。
最初の宣告なんて、まだまだやれることがいっぱいあって
希望に満ちているとも言えた。

結果は異常なし、だった。

でも、最近のこの体調の悪さは尋常ではない気がしていた。
異常無し、という事は、体調悪いのは放射線治療の影響とも考えられた。

更に「いやーな予感」がする体の変化があった。
昨日の夜、首の付け根のリンパが腫れて瘤の様になっているのに気づいたのだ。
この日、金子医師にそれを見せたところ「取って検査に回しましょう
簡単な手術で取れるから」という事で特に何もコメントは無かったが・・・
それでも異常無し、と聞いた京子、腰痛はナリをひそめ体調は良くなった。
気分次第なのか偶然なのか・・・

2日後、そのシコリを取るために京子はまた厚生年金病院へ行った。
手術は確かに短時間ではあったが、痛かった。
終わって帰るとすっかりグロッキー状態で、昨日までの快調さは
消し飛んでしまった。
それからも消毒だの抜糸だのと通う事になり、それとともに腰だけでなくて
いろんな所が痛くなってきて夜もまともに眠れない日があった。
それでも「忘年会!」とか言うと体調は持ち直し、今年もORP酒都圏忘年会に
出かけ、その足でおっとさん&ともよちゃん交際発覚尋問飲み会にも出て
次の日はまたダウンしていた。

クリスマスはこぶとり手術、最後の抜糸だった。
生検の結果は聞いてもハッキリ教えてくれない。更に胸部CT撮るからまた
明日来いという。それって思いっきり悪性だったって言ってる!?と
京子は怒鳴りたかったが、そんな元気があればこんなとこには来ていないのだ。

それから年末にかけては、快調だけど血尿出て不安になたったり
腰痛かばってる背筋が疲れてしまって夜中何度も目がさめたり
じんじんと買い物に出かけたりすれば、その夜は朝まで寝られたり
不安定な毎日が続いた。

ただ言える事は、どうも気分次第で体調の浮き沈みがあるらしい
ということだった。
そんなことから、癒しの森でアロマオイル作ってもらい
それで気持ちを落ち着けてみる事をしてみた。

これが、なかなか。
よっぽど自分にマッチしたオイルだったのか、こんなに楽になれるなら
もっと早くやってみれば良かったと京子は後悔した。
本当に気分が明るくなって
「これでじんじんにも小春にもやさしくしてあげられる」
と思うと、またラクな気持ちになれた。
大晦日をこういう気持ちで過ごせたのは本当に良かった、と
京子は思った。

- つづく -