大ガードの夜景 第30話  『 年の瀬 』

年末となれば、やはり忘年会なんかがあったりするわけだが
京子はniftyのバイクの集まりアウトライダーパティオの新宿「酒都圏」忘年会に
出席することにした。入院はしていたが、そこにいる事そのものに意味があるという
わけでも無かった。例のクスリの影響で体調が悪いなら別だが
そうでなければなんて事はないのだった。
癌とはそういう病気なのだ。
癌そのものがどう、というのではなくて、癌が臓器を壊す結果苦しんだり
死に至ったりするだけなのだ。
飲み会なわけだが、京子はいつもの調子でほとんど「食い」に走った。
初め京子が姿を現した時、事情を知っているみんなはかなり驚いた。
死に直結する病気で入院中の人間が夜の歌舞伎町に「飲み会だー」とか言って
現れたのだから無理もない。更に会場での食べっぷりを見たら、まあ入院中の
人間には見えなかっただろう。
癌とはそういう病気なのだ。

20:30一次会の「北の一丁」を出たみんなはウロウロした結果、西口まで移動して
シャノアールになだれ込んだ。一次会が50人。そこからカラオケに走る者と
茶に走る者と帰る者に分かれたのだが、それでもまだ20人もいて、すぐに入れる店は
そのくらいしか無かったのだった。

二次会は1時間程でお開きとなったが、城東地区仲間の伝ちゃんと地元へ移動して
茶を続ける事になってしまった。
三次会は新小岩のジョナサンで27時まで続いた。新小岩ジョナサンは以前から
ついつい長居をしてしまう、危険なジョナサンの一つに数えられていた。
じんじんは「あー白んできた・・通勤渋滞はじまんないうちに帰ろうぜー」
なんて事がしょっちゅうだった。
ここまで来たのも伝ちゃんが車で家まで送ってくれる、という条件だったのであるが
ジョナサンのある新小岩は忘年会をやった新宿から東に20km、23区の東の端の方。
京子じんじんの家は新宿から西に10km、23区の西の端に位置していた。
そして、伝ちゃんの家は新宿と新小岩の間にあった。
つまり伝ちゃんが車で二人を送るという事は、伝ちゃんは自宅を2度通過して
23区を東西方向に1往復するという事だったが、バイク乗りはどうもそういう事に
無頓着らしく平気でそういう事をしてしまうのだった。

伝ちゃんの車が杉並のじんじん宅についたのは28時過ぎ。伝ちゃんはまたそこから
1時間かけて家に戻って行った。

- つづく -